四季折々、珍しい

田中角栄さんの故郷西山町の知る人ぞ知る「にしざわ酒店」にて幻の日本酒と巡り会う

両手いっぱいのサバ缶

なぜこんなところに建物が???と思うような駐車場の端っこにポツンと立つ小さなお店が一軒。気になって近づいていくと、賑やかに笑いながらお店から出てきたおばさま二人とすれ違いました。なぜかニコニコと両手に「サバ缶」を持っていたのです。

気になって、気になって思わず声をかけてしまったわたし。「こんにちは。あの、それは特別なサバ缶なのですか?」

おばさまたちは「これね、美味しいのよ。人気なのよ。もうあと二個くらいしかないわよ、私たちが買い占めたから」

マツコデラックスも大絶賛!

どうやら「マツコの知らない世界」で紹介されて一躍人気者になった「サバ缶」らしいのです。気になって店内に入って眺めてみました。「八戸漁港 味わい鯖」良いネーミング。味わいたくなりますよね。家族で食べてみようと二つ購入しようとレジ脇のテーブルにサバ缶を置きました。

ですが、店内を見渡してみるとこのお店の売りはこれだけではなかったのです!!他にも面白そうなものがたくさんあって、もう全部見てからでないと帰れなくなってしまいました。

お客様のことを思いながら書く手紙に感動

レジにサバ缶を置いてから店内を見渡すと、下の写真のように新聞記事のコピーが貼られていました。読んでみると、妙高の鮎政宗酒造、新発田市の市島酒造など、知る人ぞ知る新潟の酒造についての記事でした。。

レジ脇のテーブルに並べられているお得意様向けの葉書や手紙には店主さんからのメッセージが書かれていて、なんだかほんわかとした気持ちになっていきました。

すると「夏子の酒」という文字が目に飛び込んできたのです。そう、あの幻の酒米「亀の尾」を復活させたという漫画のことです。新潟の久須美酒造がモデルになっていると聞いたことはありますが、こちらのお店は夏子の酒に何か特別な思い入れがあるようなのです。

美味しい日本酒に目がないわたしは、今日の午後の予定などすっかり忘れて、店主さんに声をかけてみることにしました。店主さんの日本酒愛と角栄さん愛が素晴らしいことがビシバシ伝わってきました。

まさかの酒屋に漫画?!

まずは店主さんの角栄さん愛からお話しましょう。入り口左手にどーーーんと置いてあるのはこちらの漫画。新潟県旧西山町が産んだ名宰相、田中角栄さんの物語です。

田中角栄さんのお膝元である西山町、この町に住む人はたぶん、すべての人が角栄さんのことが大好きなのだと思います。普通、このように有名になった方は地元では支持しない方もいると思うのですが、田中角栄さんは本気で地元を愛した方ということで、わたしは西山町で角栄さんのことを悪くいう人に会ったことがありません。

地元の方々は、自分や自分の親戚や知人、はたまた知人の知人の角栄さんとのエピソードを大切に語ってくださるのです。「角栄さんがいたからこそ今の自分がある」そのようにおっしゃる方は大勢いらして、会う人会う人魅了してしまう角栄さんの魅力を知りたくなってきたわたしはこちらの漫画を新刊の8巻までセットで購入させていただきました。

この時期にしか飲めないおすすめにごり酒

これはわたしが愛してやまない「福泉(ふくせん)」のにごり生酒です。蕎麦屋さんについては次の機会に書こうと思うのですが、十数年通い続けている蕎麦屋で出会ってから、よく飲むようになったお酒です。写真は帰宅してから一杯注いだところの写真。

パッケージはこのような感じで字体も好きなのです。にごりの中でもとても弾けるような味わいで、酸味も少しあるのがなんとも癖になります。製造は新潟県長岡市脇野町にある河忠酒造株式会社。わたしが通い始めた当時は長岡市と合併する前で「三島町(みしままち)」という名前でした。

幻の酒は店頭には置かずに、その価値を知っている人にしか売らないというポリシー

さて、本当はあまり人に知られたくないので書きたくないのですが、このお店まで行こうと思う気持ちのあるあなたにだけはお伝えしたいと思うのでこっそりと書くことにします。

上の写真を見てわたしがこれから何を話そうとしているのか分かったあなたは相当の日本酒の通です。どちらとも「夏子の酒」のモデルになった久須美酒造さんで作られている日本酒なのですが、実は夏子の酒に出てきた幻の酒米「亀の尾」を使っているのは下の写真の「亀の翁」の方。

とっても紛らわしいのですが、久須美酒造さんからは上の写真の「亀の翁(かめのお)」という名前の日本酒と、下の写真の「亀の尾(かめのお)」という名前の日本酒が発売されているのです。

「亀の尾」というラベルがついているこちらの日本酒は山田錦を使って作られています。もちろんどちらも久須美酒造さんのお酒で、そして、どちらとも美味しいのです。

新潟市内から旧西山町までは高速道路を使って約1時間

新潟駅前の万代口観光案内センターから出発するとすると、途中でお手洗い休憩なども入れると車で約1時間半くらいの距離になります。

ご紹介した酒屋さんの名前は「にしざわ酒店」。田中角栄記念館の駐車場を挟んで向かい側にあります。旧西山町は現在は柏崎市(かしわざきし)となっています。高速道路のインターは「西山インター」になります。

田中角栄さんとツーショットが撮れる等身大パネルあり!!

田中角栄記念館では、おもてなし上手の男性職員2名が館内の説明をしてくださいました。目白の田中角栄邸で実際に多くの政治家たちが座って熱い談議をした当時の白いレースカバーの掛けられた応接セットが展示されているのでぜひご覧になってください。

日中国交正常化を目指して実際にそれを成し遂げることとなった田中角栄氏の名前は中国では歴史の中で必ず学ぶことになっていると、新潟を訪れる中国人学生が語っているとお聞きして驚きました。

中国の方にとっては「今の中国という国があるのは田中角栄さんのおかげ」なのだという話もあるのだそうで、わたしたち日本人よりも更に尊敬の想いと角栄氏への熱い想いでこの記念館を訪れているのだそうです。

そんな真面目なお話を聞いた後、このようにはしゃいだ写真を載せてしまって大変申し訳ないのですが、凛々しい角栄さんを見ていたら、思わずハグしたくなってしまいました。

こちらの田中角栄記念館のお土産物コーナーにあった「田中角榮遺墨展図録」にとても感銘を受けたので、最後にご紹介させていただきます。

↑↑↑「良寛記念館発行の書評より」氏の書を見ると、コンピューター月ブルドーザーといわれたエネルギッシュでタフな性格とは、これまたかなり違った印象をうける。つつしまやかで、温和で、女性の書のようなやさしさがある。結体には少しの癖もなく、お手本的でさえあり、線は素直でのびのびとしている。新潟大学名誉教授 加藤 僖一

↑↑↑こちらの「神霊」は、戦争で三人の兄弟を失った支援者に贈られたものだそうで、このように支援者ひとりひとりに気持ちを向け、大切にしていた角栄さんの「あり方」が目に浮かぶように感じます。

こちらの「遺墨展」の冊子を読むことで、故郷の人たちの暮らしが良くなっていくように願い、日本の国の人々がより良い暮らしができるようになることを祈って、働いて働いて働き通しの人生を生きた角栄さんを感じることができるでしょう。

 

 

 

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